『悪霊の影響からの解放　「アンバウンド」実践ガイド』

クリスチャンであっても悪霊の影響からの解放が必要です。今回は、『悪霊の影響からの解放　「アンバウンド」実践ガイド』（ニール・ロザーノ著、小熊晴代監訳、高浜武則訳）の「はじめに」をご紹介します。

はじめに

神は、私たちを暗やみの圧制から救い出して、愛する御子のご支配の中に移してくださいました。この御子のうちにあって、私たちは、贖い、すなわち罪の赦しを得ています。（コロサイ人への手紙１：13－14）

1970年1月、神様がその愛を私に示してくださり、私の人生は永遠に変えられました。でもしばらくすると私は、主に仕えようとするときに悪魔が邪魔をすることに気づき始めました。それが、タイミングの悪いことに黙想会前にかかる病気であろうと、メッセージを語ることになっている時間を前にして腰痛になってしまうことであろうと、悪魔が私を妨げようとして、いかに私の恐れを用いて身体に症状を起こしているか、ということに私は気づいたのです。誘惑とは、単に個人的な弱点との奮闘ではなく、実際、私に道を踏み外させ、私の信仰を破壊しようとする戦略的で悪魔的な組織的活動であると理解するようになりました。

聖書を読むと、悪霊の働きと、イエスが悪霊から自由を取り戻すことについて多くの言及があることに私は気づきました。そして解放について書いてあることなら探して何でも読みました。イエスの御名によって霊的な束縛から解放されることについて人々の話を熱心に聞きました。自分の人生においても周りの人々の人生においても、もっと自由を得る必要性のあることを私はますます認識するようになりました。私が知っていた唯一の助け、悪戦苦闘している他のクリスチャンに私が差し出すことのできた唯一の助けは、私が理解していると思っていた次のような慣れ親しんだ御言葉でした。「悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば、悪魔はあなたがたから逃げ去ります」（ヤコブの手紙４：７）、「そして、あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします」（ヨハネによる福音書８：32）。しかし、何かがまだ足りませんでした。これらの御言葉の真理を実践する方法を私はまだ知らなかったのです。

15年ほど経ったころ、主は、悪魔に抵抗する方法と、いかに真理が私たちを自由にするかを私に教えてくださいました。それは一人の敬けんな男性が、聖霊の力を通して、私を悪霊の影響から解放してくださった時でした。その霊は、過去の深い傷に根付く霊的な束縛で本当に私を縛っていたのです。その出来事はとてつもなく意義深いものでした。キリストが勝ち取ってくださった自由を私は新たな方法でつかみ取ることができたのです。その後、私は、長年にわたり、何百人もの人々が同じ体験をすることができるよう、妻のジャネットと共にお手伝いをすることができましたし、この国と世界を旅して、アンバウンド－キリストにおける自由－の大会で教えてきました。

私は解放を信じています。しかし、霊的自由のほとんどは、神がどなたであるのかという真理を私たちが知り、神がご自身について、私たちについて、私たちの人生における神の働きについて語られたことを私たちが実際に信じるときに起こります。神を信頼するだけでなく、誘惑に抵抗し、罪を悔い改め、悪魔のわざを断ち切り、私たちを傷つけた人々を赦したとしても、それは解放の98％止まりです。私たちのほとんどは、残念ながら残りの２％を得るまでは、完全な自由を獲得することがありません。それは、私たちが敵に去れと命じることです。

私はこの解放を理解するために「５つの鍵」を教えています。これら５つの祈りの原則は、悔い改め、赦し、イエスの御名による断ち切り、イエスの御名の権威の行使、天の御父の祝福を受けることで、この後に続く章で丁寧にそして具体的に説明されています。それぞれの鍵は、キリストにおいて与えられている贖いを私たちがつかみ取れないでいることについて、その中心にある問題に対処します。いったん、この悪霊との対決を避けるスタイルの解放において、私たちの深い心の問題が取り扱われると、自由がやってきます。通常それは静かにやってきます。ケニアで行われたある大会で、指導者たちがこのことに大きな安堵を示しました。「束縛のうちにいる人々を助けるのに、叫んだり、金切り声を出したりしなくてもいいということですか？」　別の多くの場所でも、アンバウンド・モデルを採用したクリスチャン指導者たちから同じようなコメントをいただいています。

アンバウンドの解放のモデルは世界中に紹介され使われています。遠くはガーナ、ルワンダ、パプア・ニューギニアにまで及んでいます。現在までのところ、『アンバウンド』はスペイン語、ウクライナ語、ポーランド語、スロバキア語、スロベニア語に翻訳されています。ロシア語への翻訳が進行中です。

クリスチャンの友人で、悪魔の存在を信じていない心理学者が、初版の草稿を読んで、こんな逸話を私に送ってきました。

２人の少年が、日曜学校で悪魔に関する強烈な説教を聞いて、家への帰路を歩いていました。
1人が聞きました。「あの悪魔の話、どう思う？」
「サンタクロースが実は誰だったか知っているでしょう」と他方が答えました。「悪魔もきっとパパがふりをしていると思うよ」。

彼女の懐疑心もわかります。この逸話の中にある真理も理解できます。人の人生における悪霊の影響のレベルは、父親や母親との幼少期の関係あるいは関係の欠如、そして人生におけるトラウマによるところが大きいです。聖書には「あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを探し求めながら、歩き回っています」（ペテロの手紙第一 ５：８）と書いてあります。ライオンにとって、すでに傷ついているもの以上の餌食があるでしょうか？　読み進むと分かりますが、この本は悪霊についての本というよりも、むしろ、悪霊の影響に対して私たちが開けてしまった扉を認識することと、その扉を閉じる方法を学ぶことについての本です。解放とは、出エジプト記がファラオについてのものではないように、悪魔についてのものではないのです。むしろ、悪霊からの解放は、キリストにあって、天の御父の祝福を得ることができるよう、障害を取り除くことなのです。

本書では、普通のキリスト教生活における霊的自由に焦点を絞っています。多くの人々は、カウンセリングに行き、罪を告白し、神を中心とする生活を追い求め、彼らの生活の特定の領域における霊的な束縛から自由になるために、知っている全てのことをしています。でも何をしても安堵できません。多くの信仰篤く、熱心なキリスト者も、霊的な欺きにより、隠れた罪や抑制できない強い欲望や恐れを持って生活してきています。そして、悪霊からの解放が必要だと彼らが思ったことは一度もないかもしれません。

妻が長男を出産する前、私たちは出産の手順を学び、知らないことによって恐れることのないよう、出産準備クラスに参加しました。教育によって私たちは恐れに対処する方法を学びました。私はこの本を同じ理由で書きました。主があなたを自由にするに当たって、あなたが主の働きにどのように協力すべきか知っていただきたいのです。この本は、あなたの心に語り掛け、あなたを助けたいという強い願いを持って心から書かれたものです。そうです。本書が、解放のミニストリーに対する、バランスのとれた、安全で、信仰的なアプローチを見出す上で何らかの貢献できるようにと私は願っています。でも、私の一番の関心は、私たちの主イエスへの深い回心を求めている人々の心に語りかけることです。イエスは真理であり、主は私たちに、「真理は私たちを自由にする」とおっしゃいました。

本書の読み方

本書の最初のパート（１章〜９章）を通してあなたを個人的な旅路へとお招きいたします。それぞれの章は、あなたが主との対話を始める助けとなることを意図して祈りと省察で締めくくられています。あなたは1人で、あるいは信頼のおける友人と、あるいは信頼できるリーダーのもとにある小グループと共にこの旅に出てもいいでしょう。私の祈りは、あなたにもっと自由をもたらすために、あなたの中で働かれる聖霊にあなたが出会うことです。

パート１では、自由と祝福をもたらす祈りの基礎を形成する、様々な原則について、段階を追って説明します。パート１は、信仰の応答をする助けとなるよう意図されています。誰かがあなたのために祈る前か祈った後に、あるいはその前後にこれらの章を読んでもいいでしょう。理解すればするほど、敵の支配は弱くなります。あなたが理解すれば、恐れを追い出し、悪霊の破壊的な出現の可能性を減らす助けとなります。

１〜９章では次のことを取り扱っています。
・イエスのゆえに、私たちには希望があり、私たちは必要な恵みを願い求めることができる。
・イエスは、私たちの希望である。イエスは私たちの救い主である。
・イエスは、私たちを罪から、そして私たちの人生に対する悪魔の計画から救い出してくださる。
・イエスは、私たちが悔い改めることができるよう、私たちの心を明らかにしてくださる。
・イエスは、私たちに他人を赦し、人生における敵を断ち切る力を与えてくださる。
・イエスの御名によって、人生に働く悪魔の影響に立ち向かう権威が私たちに与えられている。
・神は、与えられている召命を成就できるようにと、私たちが何者であるのかを示すことにより私たちを祝福したいと思っておられる。

本書に示す原則を学びながら、記録を取ることを提案します。あなたへの主のメッセージとあなた自身の応答について、個人的な記録を取ってください。それが劇的なものであろうと、あなたを変容し、祝福しようとする神の信念と臨在と力への緩やかな気づきであろうと。

本書の次のパートは、解放の祈りにおいて他者を助ける方法と、最初のパートの原則の適用方法に焦点を置いています。パート２は、他者のために祈る機会が滅多にない読者にとっても有益だと思います。

司牧に責任を持っている多くの人々は、人々が個人的なミニストリーを受ける準備を整えるための道具として、本書を用いています。本書の前半を読んでミニストリーの準備をするよう人々に願うならば、対処を必要とする問題についてより深い洞察を得たり、解放への過程でどのように協力すべきかよりよく理解したりするための機会を提供することになります。

過去に変えられるための助けを受けたことのない人々、あるいは、あなたを助けようとしてくれた人々から理解してもらえなかった人々が、本書を通して希望を持つようになることが、私の最も強い願いです。あなたを助けてくださるよう主を頼みながらも、基本的なことを続けてください。それは、賛美、祈り、悔い改め、断食、訓練、霊的カウンセリングです。そして、福音の力に出会うことです。それは、捕らわれ人を自由にします。解放は、魔法の薬ではありません。神の一人子に似たものに作り変えられようとしている人々の人生を変容する、聖霊の栄光に満ちた継続的な働きの一部です。（ローマ人への手紙８：29）

本書は、イエス・キリストを通して私たちのものとなっている希望と自由について書かれています。この自由は、私たちが神の恵みと協力することを学び、神がすでに私たちに与えてくださっている勝利を獲得するときに、解き放たれます。

　　長い間、私の囚われた霊はよこたわっていた、
　　罪と自然の夜にきつく縛られて……、
　　私の鎖は落ち、心は自由になった、
　　私は立ち上がり、前に進み、あなたに従った。
　　　　　　　　　　　　　　　　チャールズ　ウェスレー

私が最初に『アンバウンド』を書いたとき、ジョージ・ギャラップはそれを「打ち破りの本」と呼びました。その後も多くの方が同じことを言っています。本書は世界中で、何千人もの人々の人生を変容する手段として用いられてきました。章を読み進めながら、そのメッセージを自分のものとし、提案された祈りを祈って、自由への扉を開いた人々から、私たちは途絶えることなく連絡をいただいています。本書は、他の人々が救い主に初めて出会うための準備をするためにも用いられました。解放は、聖書の偉大なテーマであり、イエス・キリストの永遠の目的です。それは、私たちの人生における悪魔の働きを破壊する神の力です。それを通して私たちはキリストにおいて持っている相続分、すなわち神の御国を受けることができるでしょう。（コロサイ人への手紙1：13、ヨハネによる手紙第一３：８を参照）

『悪霊の影響からの解放　「アンバウンド」実践ガイド』（ニール・ロザノ著　2021年３月　カリスプレス限定版）

この本は、現在、いつくしみセンターWEBショップ で購入可能です。