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『コイノニア造りのレシピ(秘訣)-キリスト教共同体の12の構成要素ー キリスト教共同体をどのように築き上げるか?』(バート・A・パスター著 日本聖霊による刷新全国委員会監訳 2013年発行)の「第8章 カリスマ的なミニストリー(聖務)」をご紹介します。少し長いですが、「聖霊による刷新」の働きを理解する上で役立つと思います。
「彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった。すべての人に恐れが生じた。使徒たちによって多くの不思議な業としるしが行われていたのである。」(使徒2:42-43)
「賜物にはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ霊です。務めにはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ主です。働きにはいろいろありますが、すべての場合にすべてのことをなさるのは同じ神です。一人一人に“霊”の働きが現れるのは、全体の益となるためです。ある人には“霊”によって知恵の言葉、ある人には同じ“霊”によって知識の言葉が与えられ、ある人にはその同じ“霊”によって信仰、ある人にはこの唯一の“霊”によって病気をいやす力、ある人には奇跡を行う力、ある人には預言する力、ある人には霊を見分ける力、ある人には種々の異言を語る力、ある人には異言を解釈する力が与えられています。これらすべてのことは、同じ唯一の“霊”の働きであって、“霊”は望むままに、それを一人一人に分け与えてくださるのです。」(Ⅰコリ12:4-11)
「さて、大きな家には金や銀の器だけではなく、木や土の器もあります。一方は貴いことに、他方は普通のことに用いられます。だから、今述べた諸悪から自分を清める人は、貴いことに用いられる器になり、聖なるもの、主人に役立つもの、あらゆる善い業のために備えられたものとなるのです。」(Ⅱテモ2:20-21)
ミニストリー(聖務)の構造
キリスト共同体が組織する必要のある第三の構造は、ミニストリー(聖務)の構造です。私たちはこれを、体が健康で元気な状態を維持するために日々行う必要のある身体的なエクササイズになぞらえます。共同体は、そのメンバーと指導者のために集中的な養成プログラムを持っているかもしれませんし、その指導者が共同体の中で重要な役割と機能を果たす上で必要なスキルを備えることができるように彼らに多くの訓練を施すかもしれません。しかし、共同体の中に、メンバーと指導者のSHAPE(形状)を発見し、識別し、発展させる構造がなく、彼らの賜物を様々な奉仕のミニストリーで発揮し使用する機会を提供する構造が組み込まれていなければ、その共同体は単に停滞し衰退するだけです(注:リック・ウォレン師のSHAPEが意味するのは次の五つ。
なぜなら、共同体の内部にも外部にも奉仕が形として何も存在していなければ、共同体には何の存在理由もないからです。キリストの生ける体としての共同体が、非常に生き生きとしており、それを愛において築き上げ、さらに、様々な賜物とミニストリーを自由に分配される聖霊のダイナミズムによりこの世で証しする備えができていることを証明する上で、ミニストリーの構造は役に立ちます。
<訳者注:リック・ウォレン師のThe Purpose Driven Church(目的主導の教会)の邦訳『五つの目的が教会を動かす』(河野勇一監訳、2012年いのちのことば社発行)の中でもSHAPEはそのままで使用されている。SHAPEのSはspiritual gifts、Hはheart、Aは abilities、Pはpersonality、Eはexperiencesを意味する。これら五つは人がどのようなミニストリーをすべきかを決定する要素である。>
キリストの生ける体としての共同体が、非常に生き生きとしており、それを愛において築き上げる備えができていることを証明する上で、ミニストリーの構造は役に立ちます。
SHAPE
ですから、ミニストリー(聖務)の構造は、個々のメンバーのSHAPE(霊的賜物あるいは聖霊のカリスマを含む)を識別し、発見し、発展させ、開花させる仕組みを提供してくれるのです。私たちは、聖霊が、教会を築き上げるための奉仕のための賜物の与え主であることを知っています。私たちは、共同体のメンバーの誰がどのような賜物を持っているか識別することにより、共同体の中にある様々な賜物を発見する必要があります。私たちは、共同体のすべてのメンバーが共同体の中でのミニストリー(聖務)と外でのミッション(使命)に対する主からの招きを識別できるよう助ける必要があります。それは、すべてのメンバーが自分の霊的賜物、自分の生まれつきの能力や才能、自分のユニークなパーソナリティと経験を主への奉仕のために捧げることができるようになるためです。私たちは、さらに、霊的賜物あるいはカリスマを発展させ、それが成熟に至るような機会を提供しなくてはなりません。それは、その霊的賜物あるいはカリスマが共通の益のために広く用いられ、神に栄光を帰すことができるようになるためです。ですから、ミニストリーのの構造には、個々のメンバーのSHAPEを識別し発見するプロセス、彼らのSHAPEを成熟に至るまで発展させ開花させるプロセス、彼らにキリスト共同体の内外で霊的賜物を充分に発揮できるよう様々な機会を与えるプロセスが含まれています。
ミニストリー(聖務)
聖霊は、共同体で使われるよう、ご自分の賜物を自由に分け与えられることを思い起こさなくてはなりません。だれも賜物を占有することはありませんし、共同体におけるすべての賜物は共同体を築き上げるために使用されるべきものです。カリスマ的な賜物は、一般的には、個人の獲得物ではなく、すべて者の益のためのものです。カリスマ的な賜物は常に祈りの状況の中で獲得され発揮されるべきものです。それを人々に与え、賜物を受けた人々を愛の内に奉仕するよう動かすのは聖霊ご自身だからです。神は、秩序と平和の神ですので、様々なミニストリーにおいて賜物を発揮する場合には、共同体全体の益のために他のミニストリーと互いに調整し合い、調和させなくてはなりません。共同体の内外にどのようなミニストリーを導入し実施するかを決めるのは、共同体の識別です。
ミニストリー(聖務)のためのガイドライン
コリントの信徒への手紙一の第12章とローマの信徒への手紙第12章1節から8節までの聖パウロの言うことに従い、私たちは、ミニストリーについての次の原則を順守します。
キリスト共同体において、ミニストリー間で多くのコミュニケーション、相談、協力、調整があるとき、そのキリスト共同体は調和を持って前進するだけでなく、成熟に向かって速く強力に成長します。
内側に向かうミニストリー(Ad Intra Ministries)
共同体の内部で機能するミニストリーは、「内側に向かうミニストリー」と呼ぶことができるでしょう。それらのミニストリーは、共同体の内部構造において共同体の一般的な益を築き上げ、強め、促進するために行われるものです。識別のプロセスにおいて、共同体は次のような実際的な質問をしなくてはなりません。どのような賜物を共同体の中に見出せるか。これらの賜物は、共同体の中で益をもたらすため、どのように用いることができるか。共同体を築き上げ、指導者とメンバーを強め、共同体全体を強める上で、どのようにすればこれらの賜物が役立つか。共同体が内的に成長するためにどのような奉仕やミニストリーが共同体に必要となるか。共同体生活のどの領域で具体的にどのミニストリーが必要か。これらの質問は、キリスト共同体においてどのような「内側に向かうミニストリー」を置くべきか識別する上で助けになります。
外側に向かうミニストリー(Ad Extra Ministries)
一方、この世でキリストの使命を果たすために共同体の外側で証しすることを目的として「外側に向かうミニストリー」も置く必要があります。忘れてはならないのは、キリスト共同体は、この世で力をもって証しするよう主から使命を受けていることです。それは、福音がこの世の人々に聞かれ受け入れられるためで、ひいては、この世とその文化がやがてキリストの福音によって染まるようになるためです。これは、キリスト共同体の宣教的あるいは使徒的な特性です。ですから、キリスト共同体を築き上げることは、この世において共同体の使命を果たすことを目的としているのです。この意味において、「外側に向かうミニストリー」には、使徒的な側面があることがわかります。そのミニストリーは、社会の人々への奉仕のために、外側の世界に向けられているからです。
賜物の与え主
ですから、私たちがミニストリー(聖務)の構造について語るとき、神の目的のために神への奉仕に自発的に自らを差し出す普通の男性と女性に対して上から与えられる力としての聖霊に言及していることになります。これらの賜物の源は聖霊です。聖霊は様々なミニストリーにインスピレーションを与える者です。同様に聖霊は、どの賜物とミニストリーをご自分の教会への奉仕のために、そして社会において使うことになるのか、お決めになる方です。聖霊は、ミニストリーを効果的で実のあるものとしてくださる方でもあります。再度、ここで確認しておかなければなりませんが、様々な賜物を与え、様々な奉仕にインスピレーションを与え、すべての者の聖化と救いのために様々な活動を行うよう人々を動かすのは、常に聖霊です。
執事
キリスト共同体のメンバーは、彼らの様々な特別の自然的賜物と霊的賜物が何であるのか見定めるために必要な時間を取り、それなりの努力をすべきです。彼らに対して強調すべきことは、すべての賜物は、それが自然的なものの、霊的なもの、超自然的なものであろうと、主からのものであり、主は、ご自分の無限の寛大さと善良さにおいてそれを分け与えておられること、さらに、与えられた賜物は主への奉仕と主の栄光のために有効に利用されるべきものであるということです。私たちは、それらの賜物に関しては、単なる執事、マネージャー、主のしもべなのです。
賜物からカリスマへ
賜物を見定めたのち、メンバーは、彼らに対する神の招命、すなわち、共同体の内外での奉仕への招きを識別する必要があります。特定の奉仕への神の招きに確信が持てたなら、彼らの個人的で全身全霊の対応には、今や主への奉仕のために使用可能となった彼らのSHAPEを自発的に捧げることが含まれることになります。主に捧げられているという単なる事実は、これらの性格を変えます。私たちは、主の祝福により、これらが単なる自然的な賜物から霊的な賜物あるいは聖霊のカリスマに今や変容されていることを信じます。自分自身を主への奉仕に自由に捧げる人々は、単なる賜物のある人物から主のカリスマ的なしもべへと変容されます。これも聖霊の働きによって可能となるものです。
自分自身を主への奉仕に自由に捧げる人々は、単なる賜物のある人物から主のカリスマ的なしもべへと変容されます。
カリスマ的なミニストリー
カリスマ的な賜物はミニストリーにおいて行使されます。賜物は、行使すればするほど、発展します。ミニストリーにおいて奉仕するカリスマ的なしもべが多ければ多いほど、ミニストリーは成長し実を結ぶようになります。キリスト共同体のミニストリーが多ければ多いほど、共同体は強固なものになります。また、ミニストリーがより多彩でより発展すればするほど、この世におけるキリストの福音に対するそのキリスト共同体の証しは、力強く効果的になります。
内側に向かうミニストリー(Ad Intra Ministries)
キリスト共同体の中で組織されるべき「内側に向かうミニストリー」は何でしょうか。もちろん、「教えのミニストリー」が高い優先順位を持ちますが、その次は、「宗教的・典礼的ミニストリー」で聖体祭儀を含みます。「執り成しのミニストリー(癒しのための祈りを含む)」と「音楽ミニストリー」も典礼的・準典礼的活動と密接に関わっています。「家庭生活ミニストリー(「夫婦力」と「子供育成」を含む)と「ユース・ミニストリー」は、共同体のこれら異なる層の発展のためのものです。共同体内で必要とされる奉仕に関しては、財務、健康支援サービス、社会支援サービス、文書化などのミニストリーが組織されるべきでしょう。その他多くのミニストリーが共同体の識別に従ってリストに加えられることができるでしょう。これらの様々なミニストリーは、共同体のメンバーが共同体を築き上げるために賜物を有意義に行使する多くの機会を提供してくれます。
外側に向かうミニストリー(Ad Extra Ministries)
他方、「外側に向かうミニストリー」は、おおむね、共同体の外での奉仕に向けられています。上述のミニストリーの一部も外側に向かう奉仕に向けることができます。たとえば、執り成しのミニストリー、ファミリー・ライフとユース・ミニストリー、健康支援と社会支援サービスなどで、奉仕の対象となる人々が共同体の外の人々であればそうなります。共同体全体は、愛に基づく共同体生活によりキリストの福音を証しするのですが、外側に向かうミニストリーは、共同体の外の人々、特に、見捨てられた人々、最も小さな人々、最も底辺の人々のために行われる特別なプログラム、プロジェクト、活動において、使徒的な特徴を特別に発揮するものです。
実際的な質問
最後に、内側及び外側に向けたミニストリーにおけるカリスマ的な奉仕について語るとき、次の実際的で簡単な質問が私たちを導く上で役に経つかもしれません。(1)なぜ?(2)何のために?(3)誰のために?(4)どのような方法で?(5)どのように? これらの実際的な質問に対して答えるとき、私たちは、神の御旨こそが私たちの奉仕の唯一の理由であり、神に栄光を帰すことが私たちの究極的な目標であることを何度も何度も確認し、自分自身に言い聞かせる必要があります。私たちのミニストリーの主要対象は、キリスト共同体の内部と外部のキリストの兄弟の中で「見捨てられ、身分が低く、最も小さな」人々であり、私たちは、自分の賜物を謙遜のうちに、喜びと純粋な共感をもって使うことによって彼らに仕える必要があります。
『コイノニア造りのレシピ(秘訣)』