• 思いがけず聖霊の風の恵みを受けたカトリック信徒が、聖霊刷新とは何か、Jacky のニックネームで具体的に説明するサイトです。テーマは、預言的執り成し、預言、いやし、悪霊からの解放、イスラエル、アメリカ、メシアニックジュー、エキュメニズム、マリア崇敬、聖マリアの汚れなき御心の勝利、第二の聖霊降臨など多岐にわたります。聖霊刷新関連の本もたくさん紹介しています。

ニューエイジ運動の危険性

キリスト教には「内的語りかけ」と呼ばれている恵みがありますが、これと似たものに、「チャネリング」と呼ばれているものがあります。私がこの言葉に初めて出会ったのは、1990年代始めで、春秋社から出版された「やすらぎ療法(愛はすべてを癒す)」(ジェラルド・G・ジャンポルスキ-他著、石井朝子訳)という心理学関係の本の中でした。石井朝子という人は、中央出版社から出版された「六つの鏡-生活の中の神体験」という、イグナチオの霊操の入門書の訳者でもあったので、私はその経歴を信頼し、キリスト教的な雰囲気を持つこの本を買ったのでした。

目次だけ見ても、「恐れ、非難、罪を愛に変えよう」、「あらゆる人間関係に愛のコミュニケ-ションを」、「許すことと癒すこと」、「今日私は両親を全面的に許し、すべてを過去から自由にする」、「人を助けることは自分を癒すこと」などととても魅力的なことが書かれてありました。

最初にこの本を読んだとき、私は、キリスト教的心理学がとうとう生まれたのだと思い、とても感激しました。ただ、「罪悪感を手放そう」というすすめがあっても、イエス・キリストの十字架による赦しはどこにも出て来ませんでしたので、きっとこの本はクリスチャンでない人にキリスト教的価値観を抵抗なく教えるために書かれたのだろう、だからイエス・キリストのことはわざと伏せているのだろうと考えていました。

訳者のあとがきには、この本の不思議な成り立ちが書かれてありました。それは次のようなものです。

  • この本は、『奇跡の学習コ-ス』という本を下敷きとして書かれたこと。
  • 『奇跡の学習コ-ス』は、コロンビア大学医学部のヘレン・シャックマン博士が象徴的な夢や不思議な体験を重ねるようになり、やがて「コ-スを書き取るように」指示する声に従ったことにより完成したものであること。
  • 声の伝えるメッセ-ジは「一人ひとりはかけがえのない存在。宇宙は愛と光につつまれており、人間はだれでも生命の根源と愛の絆で結ばれているものである」ということ。 
  • この本の著者ジャンポルスキ-博士は、『奇跡の学習コ-ス』を読んだときに劇的な体験をし、自分はこの宇宙の一部であり、自分の本質は愛そのものだとはっきり悟ったと述べていること。
  • ジャンポルスキ-の「対人姿勢による癒し」という療法は、トランスパ-ソナル心理学に分類され、この心理学は従来の科学の領域を大きく超えて、超常現象などさまざまな神秘現象までもその研究対象としてきていること。
  • 『奇跡の学習コ-ス』はチャネリングという現象によって書かれたが、この現象は、チャネラ-(チャネリングする人)がトランス状態に入り、日常的な自己とは違った形の宇宙意識とつながりをもつことを指すこと。

『奇跡の学習コ-ス』に関心を持った私は、関連する本を捜し出し、読んでみたのですが、どうもおかしいと感じるようになりました。そして、勉強するうちに、いろいろなことが分かって来ました。

  • 『奇跡の学習コ-ス』のような本は、欧米ではキリスト教書店ではなく、ニュ-エイジ・ショップと呼ばれる店を中心に売られていること。
  • ニュ-エイジというのは、東洋の神秘主義と西洋の合理主義を統合したような、聖俗両世界を含む世界的思潮で、宗教、教育、文学、医療、心理療法、可能思考、音楽、映画、マンガなどをとおして急速に社会に浸透してきていること。
  • たとえば「カモメのジョナサン」という本であるが、登場するカモメたちが修業をすることによって、超能力を身につけてより高度なカモメになっていくという、一見するとたわいもない内容であっても、背景に神秘思想があり、 ヒッピ-の間で一種の教科書とされていたこと。さらに著者のリチャ-ド・バックは今日、ニュ-エイジの唱道者の一人と目されていること。
  • ニュ-エイジでは、「あらゆる事物は互いに依存しあっており、したがって統合的にみなされる必要があり、すべての個人は自然、また全宇宙の一部である」というふうに考えること。この考えでは、科学とオカルトは同位置に置かれるし、善と悪との区別もなされない。彼らにとってすべては一つなのだから。
  • アカデミ-賞を受賞した女優のシャ-リ-・マクレ-ンは、現代のニュ-エイジの最も有名な唱道者の一人で、特にチャネリング(オカルトの一種で、宇宙意識との交信)で有名であること。なお、彼女は、ニュ-エイジの汎神論的な考え方を次のように直感的に説明している。

「私たちはみんな神の部分である。・・・神と私たちを隔てるものはない。私たちと神とは一つなのだから。」

「私は、トランスパ-ソナル(超個人)心理学、精神世界、ニュ-エイジ、ニュ-サイエンス、新宗教などの本は見ないし、買わないから関係ない」などと言わないでください。「やすらぎ療法」は、チャネリングにより書かれた本をベ-スにしているにもかかわらず、いつの間にかキリスト教会にも侵入し、「やすらぎの奇跡」などの類似の本と共に、私がよく立ち寄るキリスト教書店で堂々と売られるようになっていたのですから。

「アウト・オン・ア・リム」、「聖なる予言」などのニュ-エイジ関係の本がいくつも世界的なミリオンセラ-になり、多くの人々に悪影響を与えています。真理から離れることのないよう注意しなければなりません。クリスチャンでさえ惑わされているのですから。1990年代始めに私がだまされたのは、イエス・キリストから目を離したからです。私はあの頃、神はあてにならないから自分の問題は自分で解決しようと努めていたのです。

ニュ-エイジの教えは一見とても魅力的です。「自分を裁くのはやめよう。罪悪感を捨てて、愛とやすらぎを求めよう。私たちは一つだから、互いに愛し合おう。私たちの本質は愛である。愛と許しはすべてを解決する」など。でも彼らは神の愛、イエス、人間のすばらしさに言及することはあっても、神の正義、十字架、イエスの御血、人間の罪深さなどには決してふれようとしません。だから彼らのうちに真理はあり得ないのです。

参考文献(クリスチャンによって書かれたもの)

  1. 『偽りのメシア運動-NEW AGE-ニュ-エイジ・ム-ブメントとは何か』(バジレア・シュリンク著、マリア福音姉妹会、1990年)
  2. 『教会をむしばむニュ-エイジの罠』(水草修治著、CLC出版、1993年)
  3. 『ニューエイジムーブメントの危険』(尾形 守著 プレイズ出版、1996年)