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キリスト教には「内的語りかけ」と呼ばれている恵みがありますが、これと似たものに、「チャネリング」と呼ばれているものがあります。私がこの言葉に初めて出会ったのは、1990年代始めで、春秋社から出版された「やすらぎ療法(愛はすべてを癒す)」(ジェラルド・G・ジャンポルスキ-他著、石井朝子訳)という心理学関係の本の中でした。石井朝子という人は、中央出版社から出版された「六つの鏡-生活の中の神体験」という、イグナチオの霊操の入門書の訳者でもあったので、私はその経歴を信頼し、キリスト教的な雰囲気を持つこの本を買ったのでした。
目次だけ見ても、「恐れ、非難、罪を愛に変えよう」、「あらゆる人間関係に愛のコミュニケ-ションを」、「許すことと癒すこと」、「今日私は両親を全面的に許し、すべてを過去から自由にする」、「人を助けることは自分を癒すこと」などととても魅力的なことが書かれてありました。
最初にこの本を読んだとき、私は、キリスト教的心理学がとうとう生まれたのだと思い、とても感激しました。ただ、「罪悪感を手放そう」というすすめがあっても、イエス・キリストの十字架による赦しはどこにも出て来ませんでしたので、きっとこの本はクリスチャンでない人にキリスト教的価値観を抵抗なく教えるために書かれたのだろう、だからイエス・キリストのことはわざと伏せているのだろうと考えていました。
訳者のあとがきには、この本の不思議な成り立ちが書かれてありました。それは次のようなものです。
『奇跡の学習コ-ス』に関心を持った私は、関連する本を捜し出し、読んでみたのですが、どうもおかしいと感じるようになりました。そして、勉強するうちに、いろいろなことが分かって来ました。
「私たちはみんな神の部分である。・・・神と私たちを隔てるものはない。私たちと神とは一つなのだから。」
「私は、トランスパ-ソナル(超個人)心理学、精神世界、ニュ-エイジ、ニュ-サイエンス、新宗教などの本は見ないし、買わないから関係ない」などと言わないでください。「やすらぎ療法」は、チャネリングにより書かれた本をベ-スにしているにもかかわらず、いつの間にかキリスト教会にも侵入し、「やすらぎの奇跡」などの類似の本と共に、私がよく立ち寄るキリスト教書店で堂々と売られるようになっていたのですから。
「アウト・オン・ア・リム」、「聖なる予言」などのニュ-エイジ関係の本がいくつも世界的なミリオンセラ-になり、多くの人々に悪影響を与えています。真理から離れることのないよう注意しなければなりません。クリスチャンでさえ惑わされているのですから。1990年代始めに私がだまされたのは、イエス・キリストから目を離したからです。私はあの頃、神はあてにならないから自分の問題は自分で解決しようと努めていたのです。
ニュ-エイジの教えは一見とても魅力的です。「自分を裁くのはやめよう。罪悪感を捨てて、愛とやすらぎを求めよう。私たちは一つだから、互いに愛し合おう。私たちの本質は愛である。愛と許しはすべてを解決する」など。でも彼らは神の愛、イエス、人間のすばらしさに言及することはあっても、神の正義、十字架、イエスの御血、人間の罪深さなどには決してふれようとしません。だから彼らのうちに真理はあり得ないのです。
参考文献(クリスチャンによって書かれたもの)